2024年6月25日(月)、三重県桑名市長の伊藤徳宇(いとう・なるたか)様をお迎えして、東京都虎ノ門(官民共創HUB)にてGR首長勉強会を開催しました。
勉強会の中では、伊藤市長から「桑名市での公民連携事例」や「どうすれば公民連携が成功するのか」などお話いただきました。
桑名市は三重県北部に位置し、その地理的条件により江戸時代には東海道でも指折りの宿場町、城下町、港町として栄え、現在では県内屈指の観光都市として有名です。
伊藤市長が就任時から行財政改革に努めた結果、市の財政状況は劇的に改善。例えば、財政構造の弾力性を判断する指数である経常収支比率は、新市発足以来、最も改善を示す数値になっています。
伊藤市長はこの改革において「公民連携」が重要な役割を果たしたと話します。公民連携の推進力になった取り組みの一つが「コラボ・ラボ桑名」です。
コラボ・ラボ桑名とは、「公」と「民」の連携(コラボ)の形を研究する研究所(ラボラトリー)を意味しており、桑名市の社会課題・地域課題の解決を目指し、民間事業者等と行政の対話により連携を進め、お互いの知恵とノウハウを結集して新たな解決方法、新たな価値を創出する公民連携ワンストップ対話窓口のこと。コラボ・ラボ桑名によって、民間事業者からのユニークな発想やアイデアによる提案を幅広く集めることができるようになりました。
また、桑名市では公民連携の文脈の一つとしてPFI(※)にも積極的に取り組んでいますが、伊藤市長によると「PFIに限定せず、シンプルに土地を貸す手法も有効だ」とのこと。その具体例の一つが「健康増進施設ー神馬の湯」です。
※PFI:「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法
「神馬の湯」は温泉を活用した「予防を重視した市民が主役の健康づくり」を目的とし、公民連携によって建設された施設として令和3年にオープン。市が施設建設のための土地を貸し出し、賃料(収入)を得ながら、税金を使うことなく、建設から運営まで民間事業者(蔦井株式会社)の力を生かして行う、民設民営の施設です。
この事業では市が土地を貸し出すだけで「年間約480万円」の借地収入を得ています。
このほかにも桑名市で数多くの公民連携の優良事例が誕生しています。その背景には、伊藤市長の言葉を借りると「誰でも提案できるという意味で、公民連携の入り口がすでにオープン」という「桑名市の公民連携に対する前向きな姿勢」があるのだと感じました。
勉強会後半で実施した質疑応答の時間では「伊藤市長が公民連携を推進するうえで苦労したこと」など、ここまでの道のりの裏側もお聞きすることができました。
今後も、熱意ある地方創生ベンチャー連合では各地域の首長をお招きして、会員企業の皆様と自治体の接点作りを行い、相互作用を生むきっかけを定期的に作ってまいります。ぜひ、引き続き勉強会などのイベントにご参加いただけますと幸いです。